創業者インタビュー

NBR top interview 2015.4 創業者が語る、その成り立ちとこれからのNBE

代表取締役社長 野上邦茂

株式会社日本ビジネスエンジニアリング(NBE)は、創業以来、ソフトウェアを生業として、ITシステムの企画・設計・構築から独自のソリューションおよびパッケージソフトの企画・開発・販売まで幅広く手掛け、現在に至るまで安定した成長を遂げている。その設立は1981年。日本のコンピュータ開発が黎明期を迎えていた時代でもあった。

設立時に築いた人材への思い

創業者・野上邦茂は、当時をこう振り返る。「私は日立本社に勤めていましたが、56歳で定年を迎えました。当時はそういう規則でしたから。しかし、56歳といえばまだまだ現役、このまま終わりたくない。そう思ったのです。」そこで野上は、日立で培ってきた技術や人脈など、リソースが整っていることを背景に、会社を設立する。NBEの誕生である。

創立10周年記念パーティ
創立10周年記念パーティ
幸い、黎明期を迎えていたコンピュータ業界では、開発への需要も多く、NBEには順調に人が集まってきた。当初は、企業として成長していければいい、とだけ考えていた野上だが、社員たちが集まるにつれ、その責任の重さにあらためて気づく。「一人一人に人生がある。会社が成長すればそれで良いのではなく、社員も成長していける会社でなければ、優良企業とは言えない。」と。目線は、この時から社員のために何ができるか、に変わった。ちなみにNBEでは、人材ではなく「人財」と明記する。

「人間力と技術力を高め、目標達成を共有したい。そして活気あふれる会社にしたい。私は、そう強く思ったのです。そこで、ただ成長だけを掲げるのではなく、その礎となる理念を模索しました。」

揺るぎなき「自尊自立」の精神

理念の形成と人財育成の方針にあたっては、時代を少し遡ることになる。野上は現九州工大の前身となる明治専門学校の出身である。初代総裁は「山川健次郎」。大河ドラマ「八重の櫻」にも登場する白虎隊士であり、東大総長として、また、日本初の物理学教授としても知られる人物だ。この山川健次郎が掲げた建学の精神が「技術に堪能なる士君子」。
明治専門学校 学生当時
明治専門学校 学生当時
"技術の奥義を極めながらも、武士道の精神と実行力を持ち、倫理をわきまえた紳士を目指せ"という教えである。同時に福沢諭吉が明治維新に日本の行く末を案じ、"独立自尊"を唱えた言葉が、野上の頭の中で重なり合った。
「これだ。これこそが、社員たちと共有すべき精神だ」と直感した。そして"自尊自立"という言葉が生まれた。

さらに、野上は軍隊の予備士官学校でも一年間教育を受けている。この時合理的な躾の仕方を学び、各人の軍服や銃、剣などの軍装品の整理整頓要項を教えられ、常に行えと言われてきた。「ある日の深夜、寝ついた頃においがした。催涙ガスが迫ってきた。完全軍装による集合の非常呼集でした。部屋には居られないので一式を抱えて外で身に着ける。欠けているものは無いか、完全でなければ、朝まで立ちん棒の罰です。整理・整頓していないと、緊急事態に備えられない。これは、そのための訓練であり、躾だったのです。」この教訓から野上は「躾は言葉でなく、仕組みを作らなければうまくはいかない」と悟った。ちなみに、予備士官学校では10人ずつがグループとなって寝食を共にしたが、赴く戦地は分かれた。このグループの中で生き残って戦地から帰還したのは野上だけだったという。

これらの教えや経験が基となり、現在のNBEの礎は形成されている。"自尊自立"の精神、それは揺るぎなき行動基準であり、今後も変わる事は決してない。

代表取締役社長 野上邦茂

社員の自発性を引き出すための「見える化」と「制度」

不変の理念のもとに順調に事業を進めていく中で、野上はそれに甘んじる事なく、常に新しい手を打ってきた。そのひとつが2011年から稼働させている社内システム「CLAIRE(クレア)」である。
CLAIREは、ERP経営データ統合基幹システムで、もともとはパッケージシステム。それを独自にカスタマイズし、「経営」「プロジェクト」「人財育成」の3つのパートに分け、これらを有機的に結合させてソリューションの品質と価値向上に役立てている。このCLAIREの最大のポイントは「見える化」である。

ソリューションの品質・価値向上

プロジェクト管理を主体とした経営データの見える化により、経営資源の一層の効率化が図られているだけでなく、見える化する事で、社員一人一人が自発的に行動できるようになっている。会社が今どんな取り組みを行っているのか、プロジェクトの状況はどうか、成果は上がっているのか、誰がどんな技術を取得したのか等。見える事で、次に自分は何すべきか、その一手を自らが打つ。そうしたアクションを起こしやすくしているのだ。

2014年 中堅者研修
2014年 中堅者研修
さらに、これも独自と言える人財育成制度が、社員の自発性を後押ししている。徹底したカリキュラムが組まれている資格制度も向上心の醸成に役立っているが、新ビジネスにつながるような発言も自由に行える「提案制度」も効果が大きい。「エンジニア自身で考えた事が、製品になって世の中に出ていく。これが、醍醐味なんです。それを社員に味わってほしい。だから、トップダウンで押し付けるのではなく、社員の自発性を引き出す事が重要なんです。」自らも日立時代に新しい電話交換機を開発・特許を取得した経験を持つ野上は、自発性の大切さをそう語った。

いま2020年に向かって「One NBE」

代表取締役社長 野上邦茂

表彰状NBEは、これまでの企業活動の中で、「横浜知財みらい企業の認定」をはじめ「中小ITベンダー人材育成優秀賞」なども受賞している。これは、経営・技術・人財育成において着実に成果を積み上げてきた結果だと言えよう。さらに、技術に関する資格取得率は269%と、社員一人あたり2.69件の資格を持つという高水準を維持し、日立グループ各社ならびに大手有力インテグレーター各社からは、実績と信頼を積み重ね、高い評価を獲得している。そのNBEがいま、さらなる成長を目指して取り組んでいる事がある。

それが「NBE VISION 2020」である。ますます加速していくであろう、グローバル&スマートに対応した、より強固な事業スタイルを確立するための長期計画である。"より顧客に近い企業へ"、"一人一人がより成長できる企業へ"など、2020年に目指す会社の姿を明確にし、進行しているが、その中のひとつに"独自ソリューション提供企業へ"というのがある。

  • 安心ドッグ

現在、NBEでは自社製品/自社サービスの独自開発・提供に注力しており、すでに、簡単にホームページが作成できる「安心ホームページ」や、情報漏えい防止メールツール「安心ドッグ」などを世に送り出している。こうした製品をさらに拡大し、より高次元のソリューションを顧客に提供しようと考えているのである。野上は言う、「決してやさしい道ではない。しかし、必ずできると信じている。私の座右の銘でもある"動機善なりや"を行動の選択基準に、また"自尊自立"、全社員がOne NBEとなる"一致団結"、全員がNBEの代表としての意識を持つ"全員営業"の三つの行動基準で臨めば、必ず達成できます。」そして最後に、野上はこう言い切った。「この会社には、技術力と、なにより人間力がある。だから、できると確信しているのです。」と。

2020年、NBEはどんな成長と進化を見せてくれるだろう。それは誰にもわからない事かもしれない。だが、野上邦茂の目には、しっかりとその姿が映し出されていた。


※株式会社日本ビジネスエンジニアリングの創業者である野上邦茂は、35周年を迎える2016年4月7日、満94歳で逝去しました。本インタビューは生前2015年2月に行われたものです。

企業理念

Open a new age.

NBEは「自立自尊」の精神と、「動機善なりや」を選択基準として行動し、確かな技術力と人間力により、先進的なソリューションを提供してお客様と社会の発展に貢献します。